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新型コロナウィルス(Covid-19)治療薬、レムデシビルを解説!

おはこんばんちわー、ハイサイのーリー(@muscle_pharmac)です。

 

本日、アメリカのFDAでレムデシビルの承認が下りましたね!

レムデシビルは、ギリアド社の薬です。

もともとはエボラウイルスに対して開発されていました。

 

開発元のギリアド社ですが、どんな会社かご存じですか?

医療に関して興味がある方なら、「ハーボニー」と聞けばピンとくるかもしれません。

C型肝炎治療薬の「ハーボニー」を開発し、C型肝炎の治療に革新をもたらした製品です。

今まで数か月単位の治療が、3週間の治療でほぼ100%完治するようになりました。

結果、日本においては金額ベースである年で最も売れた薬にもなりました。

 

C型肝炎もウィルスが起因して起こる肝臓の病気なので、

ギリアド社はウィルスに対しての薬を得意にしているんですね。

 

そして今回、レムデシビルが新型コロナウィルスに対して承認を得ました。

 

何をもって承認に至ったのか、論文とプレスリリースを元に紹介します。

 

まずは、先月あたまに出た論文を紹介します。

「Compassionate Use of Remdesivir for Patients with Severe Covid-19」

<https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2007016>

 

この論文では、新型コロナウィルス患者さん61名を対象に試験を行っています。

このうち結果を解析できたのは、日本人9名を含めた53名です。

 

用法は初日200㎎、その後は100㎎を投与します。

初日だけ投与量を増やすのをローディングドーズと言い、

すぐに薬の効き目を出すために設計された投与法です。

 

結果は、観察期間中央値は18日。

その期間で68%の36名が症状改善しました。

人工呼吸器をつけているような患者さんで、57%の17名(17/30)に症状改善が見られました。

 

一方、安全性ですが、

死亡に関しては13%の7名いました。

有害事象は、60%の32名に出ています。

主なものは、肝酵素増加、下痢、発疹、腎障害がありました。

*有害事象は、副作用と違います。

有害事象は、薬が原因かどうかは関係なく起きた患者さんに不利益な事象です。

副作用は、薬が原因の患者さんにとって不利益な事象です。

 

これらの結果に関して、論文の著者は

・症状の改善

・死亡率の低さ(武漢での報告では22%)

この点の結果にレムデシビルが効果の可能性を示唆しているとしている。

 

一方で、

・対象の患者さんの少なさ

・ウィルスが消えているかの量的検査ができていない。

プラセボと比較していない。

・追跡期間が短いこと(症状改善で退院することがある)

・薬以外の要因の可能性(換気の改善、併用薬など)

 

これらの不確定因子が多いので、大規模な無作為のプラセボを対象にした試験が求められるとしています。

 

 

4月29日、米国国立アレルギー感染症研究所からの報告のまとめ

・米国で、2月21日に開始

・1063名を対象にランダム化した試験。

プラセボを対象

プラセボと比較して、回復速度が31%早い。

回復までの期間中央値;プラセボ15日、レムデシビル11

死亡率;プラセボ11.6%、レムデシビル8%

 

最後に

昨日5月1日に出されました、ギリアド社のプレスリリースです。

簡単にまとめます。

 

https://www.gilead.com/news-and-press/press-room/press-releases/2020/4/gilead-announces-results-from-phase-3-trial-of-investigational-antiviral-remdesivir-in-patients-with-severe-covid-19

 

重篤症状の入院患者にレムデシビルを投与

・10日間と5日間投与で同様な結果が得られた。

・50%が改善するのに、5日投与群で10日間、10日投与群で11日間だった。

・5日治療群、10日投与群ともに14日以内に半数以上が退院。(地域差あり)

・早期の治療開始が、治療改善に役立つ。

・新しい副作用情報は無かった。

・今後、追加のデータを提出予定。

 

一方で、レムデシビルの有効性、安全性に関してはまだ十分解明されていないことも述べています。

 

良い話の反面、分からないこともまだまだ多いです。

 

今回の結果からも分かるように、

プラセボと比較しても「全員が回復し、死亡者がなくなる」といった奇跡の薬ではないこと。

 

まだまだ使われている場面も少ないことから、

アメリカでの使用経験を見ていきながら慎重な判断が必要ですね。

とはいえ、日本人が試験に含まれているものもあります。

日本人で試験を組む必要性が低くなるため、日本でも承認までの速度は速くなるでしょう!

 

少しでも、安心した生活ができるように願っています。

この情報がお役に立てれば幸いです。

それでは、また!

バイバイ!